船頭の話 第一話 「船乗は良い酒が好き」

船頭の話 第一話 「船乗は良い酒が好き」
                    原作脚本:ジニー
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 あー! サーペンツホールドで、あっしが出会った女の話をしましたっけ?
 自分がしんでることにまだ気づいてないんですぜ。
 なに、つまらん話でさ。

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「きゃあっ」バチン


イタタタタ・・・・・・

あぁ?いい年して女の尻ばっかり触ってるからビンタはられるって?

若いの、あんたはまだ女の恐ろしさを知らんなあ。

まあまあ、呑みながらでいいから、、少しばかりこの年寄りの話を聞きなさいよ。



あれは、まあ、もうちょっとばかり、わしのおつむがふさふさで、肌もつるっつるしてた若い頃のことじゃ。

サーペンツホールドを、おまえさん知ってるかい?
派閥が活発な時代でな。よく小競り合いがあったんで、そういう時は早い時間に酒場から追い出されてしまうんじゃ。

わしは飲み足りなくてなあ。あいてる酒場はないものかと、ちょっと足を伸ばしたのよ。夏の最初の頃でな、酒で火照った身体に霧のような雨が気持ちよかったもんのじゃ。街灯がうっすらと霞んでみえてな、少々散歩したいくらい、しっとりとロマンチックな夜じゃったよ?




ほれ、西のほうに岬があるじゃろ、そこに明かりを見つけたんじゃよ。
近寄ってみると、酒場のようにもみえるし、ただの民家のようにも見える。
窓越しに若そうな女の影がみえたんでな、そーっとのぞいてみたんじゃよ。

いやいや、決してよこしまな気持ちじゃないぞ?
酒場だったらええのうと思ったんじゃが、違っていたら失礼だからの。確認のためじゃ。


そーっと明かりが漏れる窓に近寄って、そーっと見るつもりでそりゃあもう普通なら見つかるはずはなかったんじゃがな、その娘、勘がいいのか偶然なのが、扉を開けおったのじゃよ。



家の明かりに照らされた娘は、年のころ17,8くらいかのう。
別嬪さんというよりは、将来有望だがまだ幼さが残るというか、ほれ、あれじゃ、穢れていないとでも言うのかの、まあはっきり言って、女というよりまだ乳臭いガキという印象じゃったな。

わしは若い頃、といってもいい加減すてきな経験を済ませたあとでの。見てくれも航海の垢も落としていない赤ら顔でおまけに酒臭い。

それなのに恐れもせず娘はな。

「いらっしゃい、飲みにきたの?」

波止場あたりの年増のだみ声とは違って、なんとも心地のいい声でな。

「ここは酒場かい?」

「酒場はだいぶ前にやめてしまったの。でも人を待っているから、話し相手をしてくれるなら飲ませてあげるわ」

そう言われれば遠慮する必要はないじゃろう?

つまみも無く酒だけだったが、しこたま飲んで、わしの航海の与太話にころころとよく笑う娘のただこの娘、ガードが固い上にすばしっこくてのう。

ちょっと尻を・・・・・と思って手を伸ばしてもするりするりと、ころころと笑いながら逃げてしまうんじゃよ。わしのマジックハンドから逃れた女は他にいなかったじゃがのう。
まあ、わしとしても、本気でどうこうする気もなかったんでな、それほど意地にもならんかったんだがの。

娘が気に入ったので、次にサーペンツホールドにきたら、また寄らせてもらうと言ったんだがのう。

「私が待っているのは、ひとりだけなの。その人がもどってきたら、もうここにはいないわ」

女が待つといったらそりゃあ男に決まってるわな。

「あの人から、大切なものを預かっているのよ。だから寂しくないの」


「あの人は約束してくれたの。きっと私をこの島から連れ出してくれるって。約束があるから、私は待っていられるのよ」

娘の目がきらきらと、すこしうるんでいたような気はしたがの。

「そうかい、早く戻ってくるといいな」

わしは娘のところをあとにした。
待って待って待ちぼうけている女なんぞ、いくらでもいるからの。あっさりしたもんじゃよ。

次の朝、起きると気分がすっきりでなあ。よっぽどいい酒だったんだと思ってな、すぐに航海にでたんじゃが元気いっぱいじゃったな。



次に寄った港の酒場で、サーペンツホールドにそんな可愛い可哀想な娘がいた話を、飲みながら笑い話で話していたときじゃった。



盆をひっくり返した中年の給仕が、膝をついてがくがくと震えておるんじゃ。

給仕には左腕がなくてな、起用に右腕1本で仕事をしていたんじゃが、顔が真っ青を通り越して真っ白になっとったの。

これは心の臓でも悪いんじゃないかと椅子に座らせたんじゃが、震えながら、ぶつぶつとなにか言っておるんじゃ。

「そんな・・・まさか・・・・そんな・・・・まさか・・・」

よくよく見ると、やつれてはいるがいい男での。酒場なんぞで給仕のような下働きをしているのは似合わない男じゃったよ。

「どうしたんだ、どこが苦しいんだ?」

「その娘の家はどこいらへんにあった。どんな顔の娘だった。髪の色はなに色だった。」

「お前・・・・あの娘を知っているのか?」


「あの娘は17で・・・・・、死んだはずなんだ」

40にもなろうかという給仕が、あんな若い娘と恋仲だったのか思うとちょっとびっくりしたがの、波止場ではそう珍しい話でもないのう。

「そんなはずはないだろう。俺は話をしたし、酒も飲ませてもらったぞ」

「あの娘は船から海に落ちて、シーサーペントに飲まれた。最後に俺がみたのは、、シーサーペントの口の中の娘の上半身だけだった。あの娘は必死に俺の腕にしがみついた。俺は・・・・・・」



「俺は自分で左腕を叩き切ったんだ・・・・俺が18の時だった・・・・」




給仕は店主に付き添われて、奥へ引っ込んでしまい、わしらは興がさめてしまっての。飲みなおしたわ。

盆をひっくり返した給仕が、面白いと思って場をしらけさせたと、店主に文句をいったもんじゃよ。

大体40ほどの給仕が18の時に17だった娘と、同じ娘のはずがありえんじゃろう?


4.5年もたってから、サーペントホールドへ行く航海があっての。
ふと思い出して、娘の酒場を訪ねてみたのよ。
冬の寒い夜じゃったが、まだ男を待っているのか、もう島をでたのか気になっての。

明かりがついていて、窓越しに若い女の影が映ったんじゃよ。

誰かいるならと思って窓から様子をみようとすると、扉が開いたんじゃ。



「いらっしゃい、飲みにきたの?」




寒い夜じゃった。だがわしが氷の海に突き落とされたように凍えたのは娘の姿も声も、4,5年前とまったく変わっていないからだったんじゃ。

わしは「家を間違った」とあたふたと言い訳をして宿に帰って、いつまでも震えがおさまらないまま朝の迎えたんじゃ。




朝になってわしは、娘の酒場にいってみた。
そこは屋根がかろうじて落ちてないほどの廃屋じゃった。
わしが酒を飲んだテーブルには、雨水のたまった、欠けたグラスがあったんじゃ。

どおりで娘のところで飲んだ後、二日酔いにもならないはずだと、わしは笑ったものじゃよ。

それ以来じゃよ。わしは酒場の女の尻はかならず触るんじゃ。

死んだと気がつかずに男を待ってる女に、雨水を飲まされたくないからの。

なあ、若いの、触って初めて信用できるんじゃよ?ほっほっほっ・・・

「きゃあっ」バチン

ほっほっほっ・・・・・

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(あとがき)

記念すべき第1話は、男性2名、女性2名のスタッフで作成しました。

声優として参加したのは、男性2名と女性1名。

集まったスタッフが、ほんとうにたまたま、ラジオドラマを作成するのに必要なスキルを持ってたというすばらしい出会いのたまものです。

とは言っても、素人の集まりですから、気分は学芸会ですし、できも押してしかるべしw

このドラマを聴いてくださった無限民は、「無限のじいさま」が、なぜ *さわっ* と女性のおしりをさわっていくことにあれほどの情熱を傾けているのか、理由を知ったのでした。

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再放送をご希望のかたはコメントするか拍手をぽちっとしてください。

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2015.8.20 再放送を行いました
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