船頭の話 第七話 「しゃべる犬」

船頭の話 第七話 「しゃべる犬」
             原作脚本:ジニー

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「あー!スカラブレイであっしが出会った男の話をしましたっけ?
「自分の犬は頭がいいからしゃべるんだ」ですとさ!」

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その男は、街で雑貨屋を営んでいました。
堅実な商売をして、裕福だということでしたが、独り身で、黒い犬をつれあいのように可愛がっていました。


男はいつも、決まった定食屋で夕飯をとってましてね。

そこのおやじにも気に入られて、よく一品サービスされたりしてました。

おやじ
「あんた、はやくいいお嫁さんをもらいなさいよ。

いつまでもおいらの飯じゃあね。

それに不自由なこともいろいろあるだろうよ」


「いい娘がいたら紹介しておくれよ。

そうさな、おやじみたいに、うまい飯を作ってくれる娘がいいな」

おやじ
「料理だったらおいらが仕込んであげるよ。

ああそうだ、あんたのつれはまた外かい?」


「ああ、外で待っているよ。

いつものあれ、頼めるかい?」

おやじ
「ああ、ちゃんと作ってあるよ、ほら、もっていってやりな。」

男はおやじから皿を受け取ると、店の外にでました。

店の外には、黒い犬がおとなしく待っていました。


「ほら、おまえの飯だぞ」

犬は尻尾をふって、男の、よし、という合図があると静かにあたえられた飯を食べるのでした。

おやじ
「ほんとうに行儀のいい子だな」


「ああ、こいつは頭がいいからな。

時々言葉もしゃべるんだよ。

もっとも、聞き取れないがね。」

男がいうには、おかえり、とか、がんばれ、と不自由な犬の舌でしぼりだすように話そうとしているのだそうです。

犬や猫には、たまにそういうことができる器用な子がいますからね。

男がやさしく犬の頭をなでると、犬は食べているのを中断して、男をじっとみてまたしっぽを振るのでした。





ある日、定食屋に、おやじの娘が帰ってきました。

菓子職人になるといってよその町に修行にでていた娘が、修行を終えて戻ってきたのでした。


おやじ
「娘は、定食屋より菓子屋のほうをやりたいっていうんだがね。

おいらが元気なうちは、定食屋はやめないよっていってるんだがねえ。

菓子より飯のほうが大事に決まってるからねえ」




「おとうさんの料理は最高だから、わたしはお菓子で最高のものをめざすのよ」

おやじ
「生意気いいやがって。まだ娘のくせにおやじのおいらとはりあうとはね」

そういいながらも、おはじは娘をほこらしく思っているようでした。


「うちの雑貨屋で、菓子を売ってみるかい?」

男の申し出があって、娘は焼き菓子などを男の雑貨屋で売るようになりました。

これが評判がよく、男の雑貨屋はますます繁盛するようになりました。

雑貨屋が忙しくなったので、娘は男の手伝いをして、店に通う日が多くなりました。

素直でよく働く娘と、堅実でやさしい男は、当然惹かれあうようになりました。


その頃から、男の犬が、定食屋の中に入りたがるようになりました。


「だめだよ、おまえ。」

男が外で待つようにいいきかせても、がんとして入りたがります。

おやじ
「いいよいいよ、その子は行儀がいいからね。

かまわないから入れてやりな。」

おやじの許しを得て、店に入った犬は、男の傍らでおとなしく座っているのですが、ずっとおやじの娘を目で追っているのでした。

おやじ
「おやおや、うちのむすめが気になるんだね」

すると娘がいいました。


「わたし、その子嫌われているのかしら」

娘がいうには、雑貨屋を手伝っていても、ずっと目で追われているそうなのです。

その目が娘を品定めしているようでこわいと。

そういえば、娘が犬の頭をなでても、尻尾をふるわけでもない、かといって、うなることもないのですが、目線をそらすことがないのでした。


「わたし、その子がちょっと怖いの」


「ちょっとやきもちをやいているだけさ。

こいつはあたまがいいから、あんたを傷つけるようなことはしないよ」




ある日のこと、男と娘が雑貨屋で仕事をしていると、強盗が入りました。

男に殴りかかった強盗に、犬が襲い掛かりましたが、強盗がもつこんぼうで逆に殴られてしましました。

なおも犬を打とうとする強盗から、犬を守るように娘が覆いかぶさりました。

男が強盗に突進して、なんとか押さえ込むことができて、娘と男はかすり傷ですみました。

しかし、犬の傷は深く、獣医にみせて安静にして栄養のあるものを与えるようにと、男と娘で、かいがいしく看病をしました。


男と娘の結婚が決まったのはそのすぐあとでした。

すると、まだ傷がいえきっていないというのに、男の犬がいなくなってしまったのです。

男はほうぼう探し回りましたが、みつかりません。


「あの犬は、俺をひとりで育ててくれたおふくろが死んだあとに迷い込んできたんだ。

天涯孤独になった俺に、いつも付き添ってくれた相棒なんだ」

男が動揺する姿を見て娘も一緒に、必死で犬を探しましたが、とうとう見つからないまま婚礼の日がきました。


「あの子がもどってこないなら、婚礼を伸ばしてもいいのよ?」


「いや、これからは、俺の相棒はお前だからな。そのかわり、黙って俺のところからいなくなるなよ」

ふたりは予定通り、婚礼をあげることになりました。

祭壇の前で、永遠の愛を誓うそのときに、やつれて汚れた男の犬が、ふたりの前によろよろと近寄ってきました。

そして二人の前でぱたっと倒れたのです。

男は、あわてて犬を抱き上げました。

犬は半目を開けて、男をじっとみると、はっきりと、人間の言葉を話したのです。


「その娘の修行先で調べてきたよ。

その娘はほんとうにいい娘だ、一生大事にしてあげなさい」

女の声でそう言うと、犬は静かに目を閉じて、動かなくなりました。

男は犬を抱いたまま、つぶやきました。


「おふくろの声だ・・・・・」

祭司が祭壇からおりて、そっと犬の頭に手をおいていいました。

祭司
「安心されたのですね。あなたのお母様は、今やっと安らかになれたのです」

娘は婚礼の衣装が汚れるのもかまわず、男と一緒に犬を抱きしめました。

すると犬が息を吹き返し、弱弱しいながらも男と娘の顔を交互にみると甘えるようにきゅんきゅんと鳴きました。


それが魔法だったのか、ほかのなにかの力だったのかはわかりませんが、男の犬には、死んだ母親が、宿っていたのです。


男と娘は、犬を抱いて婚礼を終え、弱った犬の看病をふたりで勤めました。
元気になった犬は、若夫婦と一緒に暮らしていましたが、以前のように行儀がいいというということはなく、普通の犬として、夫婦に可愛がられました。

とまあ、それで終わればいい話なんですけどね。




どうやら男の母親はまだ成仏していないみたいなんですよ。

なんでも今度は、しゃべるカラスが住み着いているそうで・・・・・・。

これがもう、自由自在にしゃべりまくっているそうですわ。


カラスの舌は、犬よりは自由に動くらしいですね。

<効果音>カラスの鳴き声

カラス
「ちょっと、息子はその料理はきらいなんだよ!

もっとましなものを作りなさいよ!」


「いーえ、お母様。わ・た・し・が・作れば美味しいっていってくれてますから!」

カラス
「なんだい、嫁のクセに生意気だね!」


「カラスの嫁になった覚えはございません!」

カラス
「なんてこと言うんだいこの子は!」


「なんだい、またおふくろともめているのかい」


「あなたからも言ってくださいよ、お母さんたら・・・」


「おふくろ・・・・」

<効果音>飛ぶ音



「あ、にげた・・・・」


<効果音>カラスの鳴き声

<効果音>飛ぶ音

おやじ
「おや、からすのおっかさん、また逃げてきたのかい?」

カラス
「違うよ、たまには若夫婦の親どおし、仲良くしようと思っただけですよ」

おやじ
「まあまあ、うちの娘もいたらんところはあるだろうが、大目にみてくださいな。」

カラス
「いや、あんたの娘はいい子だよ、でもねえ、ついねえ・・・・・」

おやじ
「わかる、わかるよ、あんたの息子もいいやつだがやっぱり娘をとられたと思うとねえ・・・・・」

カラス
「おやってのいつまでも子供が心配なものだよねえ」

まあ、これはこれでいい話と言えなくはないですね。

なに、つまらん話でしたわ。





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(あとがき)
第7話くらいになるとあ、スタッフの皆さんがいろいろといいアイデアを出してくれます。

セリフをいいやすいようにご自分の方言に書き直したり、追加でエピソードが増えていたり、いっちゃなんですが「やりたい放題」ですw

結果として、面白いものができればいいので大歓迎です。

わたしは標準語に近い地方の言葉しかしらないのですが、本場の方の方言はとても味があって素晴しいですね。

完成版が予想を超えるのが楽しくて、この頃からは、曲の指定も音響効果担当に丸投げとなっていきます。(むりやり、やれ、といったわけではないですよ?w)



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再放送をご希望のかたはコメントするか拍手をぽちっとしてください。

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